『浄水器の歴史』について
今回は『浄水器の歴史』について触れたいと思います。
浄水器の歴史は、水の清潔性や安全性を確保するために行われてきた技術や知識の進化を示しています。古代から、清潔な水を得るためにさまざまな方法が考案され、現代の浄水器技術が構築されました。
●古代から中世までの浄水法
浄水技術の歴史は、紀元前4000年頃の古代エジプトやインダス文明にまで遡ります。古代エジプトやインダス文明では、砂や石を使って水をろ過する技術が使われました。紀元前2000年頃は、サンスクリットの文献において、水を煮沸したり、銅器に保管したり、砂でろ過する方法が記録されています。
また、ギリシャの医師ヒポクラテスは、健康のために安全な水が重要であると考え、「ヒポクラテスのろ過布」として知られる方法を考案しました。現代のろ過技術の基礎ともなっています。
●近代の浄水技術の発展
18世紀から19世紀にかけての産業革命は、都市化と人口増加をもたらし、それに伴って水の供給と安全性の確保が重要視されるようになりました。ロンドンで大流行したコレラの原因が、汚染された井戸水によることを突き止めたことをきっかけに、公共の衛生と水処理の重要性が認識され、浄水の設置が進みました。
19世紀末には、砂を使ったろ過装置が一般的になり、公共の浄水施設でも取り入れられました。続いて、20世紀初めには塩素消毒が浄水処理に導入され、これは水中の病原菌を効果的に殺菌する手段として広く利用されています。
●20世紀以降
家庭用浄水器が一般家庭に普及し始めたのは20世紀後半のことです。1950年代には、アメリカで逆浸透膜(RO膜)技術が開発され、塩分や不純物を除去するために利用されるこの技術は、水の効率と精度が飛躍的に向上したことで、家庭用浄水器にも応用されるようになりました。
1970年代から1980年代にかけて、日本でも家庭用浄水器が注目されるようになりました。 この時期に登場した活性炭フィルターや中空糸膜フィルターは、微細な不純物を除去する効果があり、多くの家庭でまた、水質問題や健康志向の考え方とともに、日本のメーカーも高性能な浄水器の開発に力を入れ、独自の技術を発展させていきます。
私たちが日常的に使用している水道水は、公共の浄水場でろ過と消毒が行われ、安全な状態で供給されています。しかし塩素や微量の有害物質、または一部の不純物が残っている可能性があるため、浄水器を使用することで、さらに高い安全性と美味しさが得られるようになりました。
●現代の浄水技術と今後の展望
現代の浄水器は、不純物を除去するだけでなく、浄化された水にミネラルを添加したり、水の味を向上させたりする機能も備わるようになりました。
また「SDGs(持続可能な開発目標)」の観点からも、浄水器の役割は重要視されています。安全で清潔な水の供給はSDGsの「目標6:安全な水とトイレをすべての人に」に貢献するもので、特に水資源が限られている地域や、災害時の緊急対策としての携帯型浄水器のニーズなど、今後、浄水技術はさらなる進化を遂げ、水不足や水質汚染といった地球規模の課題解決に貢献することが期待されています。